休みの日にはたっぷり寝て、普段は睡眠時間が短いというような方は多いかもしれません
しかし、寝過ぎや睡眠不足は特に男性において糖尿病のリスクを上げてしまう可能性があるようです
今回は、「睡眠時間と糖尿病リスク」について調べている論文をご紹介いたします
● 睡眠不足や過剰の男性は糖尿病リスクアップ
「健康な人における睡眠の影響が、男性と女性では異なって表れ、男性では糖代謝への影響が大きいようだ」という内容の、オランダにあるアムステルダム自由大学医療センターからの研究報告です
【目的】
過去50年間で自己申告の睡眠時間は1.5~2時間減少しているのに対し、糖尿病は倍増しており、短い睡眠とグルコース代謝の乱れについて報告されている。
また、インスリンの作用を評価するためのゴールドスタンダードである高インスリン正常血糖クランプ法(血糖の処理にどのくらいのインスリンを要するかを調べる方法)でインスリン感受性を評価した研究はほとんど行われていない。
そこで、高インスリン正常血糖クランプ法を用いて睡眠と糖代謝の乱れについて調べる。
【対象】
ヨーロッパ14か国に住む30~60歳の健康な788名(男性:341名、女性:447名)。
【方法】
3年間追跡したコホート研究。
加速度計を用いて睡眠と身体活動を調査して睡眠アンケートとの誤差を算出し、糖尿病のリスク評価は高インスリン正常血糖クランプ法を用いて調べた。
【結果】
・全体の平均睡眠時間は7.3±1.5時間であった。
・平均睡眠時間の男性と比較して睡眠時間が短いまたは長い男性はインスリン抵抗性があり、逆に女性では睡眠時間が短いまたは長い人はインスリン感受性があった。
・平均睡眠時間の男性と比較し、睡眠時間が短いまたは長い男性は、血中グルコースレベルが高かった。
・平均睡眠時間の女性と比較し、睡眠時間が短いまたは長い女性は、血中グルコースレベルが低く、HDLコレステロールが高かった。
【まとめ】
睡眠時間が短いことは、特に男性においてインスリン感受性および膵臓のβ細胞の機能に影響を与え、糖尿病になりやすい可能性がある。
仕事の関係でどうしても十分な睡眠時間が確保できない方は多いかもしれないですね
睡眠不足(夜型の生活)では、抗酸化作用の強い睡眠ホルモンであるメラトニンの分泌が抑制されてしまい、体に大きなストレスを与えてしまいます
また、睡眠不足の状態では仕事のパフォーマンスも低下してしまいます。
体のためにも仕事のためにも、可能な限り7時間程度の睡眠時間を確保したいものです
なお、良質な睡眠を得るためには以下のような対策がお勧めです
・就寝前に明るい光を浴びない(昼白色の蛍光灯、コンビニの照明、携帯電話やパソコン、テレビ画面など)
・就寝前にコーヒー や緑茶 、エナジードリンクなどのカフェイン入りの飲料、アルコールを避ける
・部屋を暗くして就寝する
・朝起きたらカーテンを開けて日の光を浴びる
また、下記の栄養素が睡眠に関わっていると言われます。
コンビニ弁当やカップめん、外食が多い場合には以下の栄養素は不足しがちになってしまうため、十分に補った方が良い場合があります
・タンパク質(トリプトファン、グリシン)
・ビタミンB6
・ビタミンB12
・鉄
食品では赤身の肉や魚、大豆製品などでこれらの栄養素を補うことができますが、食品から十分な量を補うのが難しい場合にはサプリメントを活用するのも良いでしょう
(さ)
<参考>
・リンク・デ・ダイエット(http://www.nutritio.net/linkdediet/news/FMPro?-db=NEWS.fp5&-Format=detail.htm&kibanID=55247&-lay=lay&-Find)
・厚生労働省 e-ヘルスネット(https://www.e-healthnet.mhlw.go.jp/information/heart/k-01-004.html)
・味の素サイト㈱(http://report.ajinomoto-kenko.com/suimin/kaiketsu.html)
・Sleep induced by L-tryptophan. Effect of dosages within the normal dietary intake.(J Nerv Ment Dis. 1979 Aug;167(8):497-9.)