前回のブログでは「オメガ3系脂肪酸の酸化に要注意!」と題して、油の酸化と人への影響についてまとめました💡
そこで今回は、「酸化した油から体を守る方法」についてまとめたいと思います😀
食品中の脂質の酸化予防
食品中の脂質の酸化を防ぐために、一般的に抗酸化剤(酸化防止剤)が添加されていることが多く、酸化防止剤として働く栄養成分には、ビタミンE、ビタミンC、ビタミンA(カロテノイド)、ポリフェノール類などがあります。
こういった酸化防止剤の中で油脂の酸化防止には、多くの場合ビタミンE(α-トコフェロール)が使用されています。
亜麻仁油やえごま油のように酸化されやすいオメガ3系脂肪酸(α-リノレン酸)が豊富な油の他、サラダ油などには食品添加物としてビタミンEが配合されている物があります。
また、米ぬか油、綿実油、サフラワー油、ひまわり油、グレープシードオイルなどには、もともとの植物由来の天然ビタミンEが豊富に含まれています(100gあたり約25~39㎎)。
酸化されやすい油でも、ビタミンEなどの抗酸化成分があることで酸化から守ることができます。
体内の脂質の酸化予防
私たちの体の中では、酸化(活性酸素)から守る抗酸化物質が作られています。
スーパーオキシドディスムターゼ(SOD)やカタラーゼ、グルタチオンペルオキシダーゼなどがそれに該当します。
また、痛風を引き起こすことで有名な尿酸、赤血球中のヘモグロビンが壊れてできる色素であるビリルビン、エネルギーを作り出す時に必要な補酵素のコエンザイムQ10なども抗酸化物質として働き、食物由来の抗酸化物質(ビタミンE、ビタミンC、ポリフェノール類など)も体を酸化から守る働きがあります。
SODやカタラーゼ、グルタチオンペルオキシダーゼなどの働きには肝臓が大きく関わっており、脂肪肝などの肝障害によってこれらの働きが低下してしまうと言われています。
脂肪肝の大きな原因は過食、多量飲酒の他、糖尿病や運動不足などが挙げられるため、体の酸化を防ぐためには食生活と運動が重要となります。
また、ビタミンCやビタミンE、ポリフェノール類が豊富な野菜や果物を積極的に摂ることも酸化予防につながります。抗酸化物質は単独で摂るよりも複数摂った方が働きが良いと言われているため、サプリメントなどで抗酸化物質を補給する場合には、抗酸化物質が複合的に配合されている物を選ぶと良いでしょう。
まとめ
もし自宅で揚げ物をする時は、ビタミンEが多く入っている油を選んだり、サプリメントなどを用いてビタミンEやベータカロテンを自分で追加するのもお勧めです。
ベータカロテンは鮮やかなオレンジ色をしていますが、油の過熱によって退色し、風味にも影響を及ぼすことはないと言われています。
また、サプリメントなどでオメガ3系脂肪酸を多く摂っている方は、体内でオメガ3系脂肪酸が酸化されにくくするためにビタミンEやビタミンCなどの抗酸化物質も意識して摂ることも良いでしょう。
ちなみに、魚油に多く含まれるオメガ3系脂肪酸のDHA(ドコサヘキサエン酸)は酸化されやすいですが、脳に取り込まれたDHAは過酸化を受けるよりもむしろ抗酸化作用を促し、神経細胞を活性酸素などから守る働きがあると考えられています。
脳の酸化予防には新鮮な青魚のお刺身などもお勧めです。
(さ)
・イラストレイテッド ハーパー・生化学[原書29版]
・ビタミン広報センター サイト(http://www.vic-japan.gr.jp/vicJ/no96.htm)
・四国医誌 61巻5,6号 147~154 DECEMBER20,2005
・川崎医療福祉学会誌 Vol.10 No.2 2000 335-340
・e-ヘルスネット(https://www.e-healthnet.mhlw.go.jp/information/alcohol/a-01-011.html)