これからの時期は歓送迎会が続くため、体重が増えてしまう方が多くいらっしゃいますね
体重を減らすために運動することはとても大切ですが、運動だけで体重を減らすのは大変です
今回は、「体を良く動かしている人とあまり動かしていない人のエネルギー消費量」について研究している論文をご紹介します
●たくさん運動しても痩せるわけではない
「体をより多く動かしても、残念ながらエネルギー消費量が増えるとは限らない」という内容のアメリカにあるニューヨーク市立大学からの研究報告です
【目的】
活動量を増やすとエネルギー消費量が増加し、エネルギーバランスの乱れや体重増加を防ぐことができる。
そのため、肥満を防ぐ方法として日常的な身体活動量を増やすことが勧められている
しかし、より積極的に身体活動量を増やしてもエネルギー消費量が想像よりも少ない傾向にあることが分かってきている
そこで、大規模な比較研究によって身体活動量とエネルギー消費量との関連を調べる。
【対象】
ガーナ、南アフリカ、セイシェル、ジャマイカ、アメリカに住む25~45歳の332名の成人男女
【方法】
対象者の1日の総エネルギー消費量は二重標識水法※を、安静時代謝は呼吸計測で、身体活動量は服装着型センサを用いて計測した。
※二重標識水法とは…
安定同位体である重水素水(2H216O)と酸素-18(1H218O)を混合した二重標識水を経口投与してエネルギー消費量を測定方法。
対象者を拘束しないで通常の生活条件下で長期間のエネルギー消費量を測定することができる。
【結果】
・筋肉量が多いほどエネルギー消費量が多かった。
・非常に活動的に生活しているジャマイカの人と、座位時間の長いアメリカ人のエネルギー消費量は同程度だった。
・身体活動レベルが中程度の人々は、最も低いレベルの人々に比べてエネルギー消費量が約200kcal多かったが、中程度以上の身体活動レベルをもつ人々のエネルギー消費量は、中程度の人と変わらなかった。
・身体活動量が増えるとエネルギー消費量は増加するが、直線的に増加するのではなくエネルギー消費量は頭打ちとなる。
【まとめ】
身体活動をより増やしてもエネルギー消費量が比例して増えるわけではない可能性がある。
活動量が少なすぎれば不健康だが、多すぎる場合は体は適応するために調整を行っていると考えられる。
<論文要旨>
http://www.cell.com/current-biology/abstract/S0960-9822(15)01577-8?_returnURL=http%3A%2F%2Flinkinghub.elsevier.com%2Fretrieve%2Fpii%2FS0960982215015778%3Fshowall%3Dtrue
普段体を動かしておらず、筋肉量が少ない方はダイエットのために運動をすることはとても大切です
しかし、仕事や日常生活で体を動かしていて筋肉量が多い人は、より運動をしてもエネルギー消費量が増えない可能性があるため、運動だけで痩せるのは難しいかもしれません
逆に「運動しているからたくさん食べても大丈夫」と食事に気を使わない場合には、余分なエネルギーが脂肪として体に蓄えられてしまう可能性があります
やはり、体重管理や不健康な体重増加を防ぐためには運動だけでなく食事も重要ですね
もし余分な体脂肪を減らしたい場合には、食事量を減らすだけでなく食事内容にも気を付けたいところです
体の中で脂肪を代謝するためにはビタミン、ミネラルが欠かせません。
また、筋肉量が減らないようにタンパク質は不足なく補う必要があります。
そして、体を作っている細胞の膜やホルモンの材料などには脂質が使われるため、油脂をまったく摂らないのもよくありません。
何事もバランスが大切ですよ
(さ)
<参考>
・リンク・デ・ダイエット 世界の最新健康・栄養ニュース(http://www.nutritio.net/linkdediet/news/FMPro?-db=NEWS.fp5&-Format=detail.htm&kibanID=52905&-lay=lay&-Find)