歳を重ねるにつれて抜け毛が気になるという人が増えてきますね
最近では若い人でも抜け毛で悩んでいる方がいらっしゃるようです
今回は、「抜け毛に良い栄養素」についてまとめたいと思います
●抜け毛の原因は?
人間の体表には約150万本の毛があると言われ、頭部には10~15万本あると考えられています。
1本1本の毛は独自の毛周期というサイクルで活動しており、2~7年の成長期、約3週間の後退期、約3ヶ月の休止期を経て抜けていきます。
1日に抜ける毛の量は約50本(個人差あり)だと言われていますが、以下のような様々な原因によりその量が増える場合があります
<抜け毛の原因>
・男性ホルモンの影響
・ストレスによる影響
・栄養不足による影響
・生活習慣による影響
・その他[遺伝、薬剤、感染、免疫異常(アレルギー)、ヘアケア方法など]
●抜け毛に良い栄養素
抜け毛(脱毛)には様々なタイプがあります
以下、男性に多い男性型脱毛症、子供でも起こる事のある円形脱毛症、女性に多いびまん性脱毛症の3タイプについて、お勧めの栄養素をまとめます
【男性型脱毛症】
思春期以降の男性に多く、前頭部や頭頂部に現れます。
老化、遺伝、ストレス、ヘアケア方法なども原因として考えられていますが、男性ホルモン(テストステロン)が大きく関わっていると言われます
治療には男性ホルモンを抑える薬(フィナステリド)や血流を良くする薬(ミノキシジル)使われることが多いですが、それぞれ男性機能低下、低血圧などの副作用が知られています
<お勧めの栄養素>
タンパク質(アミノ酸)、ビタミンB群、亜鉛、抗酸化物質(ビタミンC、ビタミンEなど)
【円形脱毛症】
一般的に10円ハゲと呼ばれる円形に毛が抜ける通常型、頭髪全体が抜ける全頭型、さらに眉毛、まつ毛、陰毛や体毛など、ほぼ全身の毛が抜ける全身型などがあります。
性別や年齢を問わず起こりますが、子供や若い成人に特に多くみられます。
根本的な原因は不明ですが、ストレスや免疫異常が有力な原因だと考えられています。
ほとんどは、放置していても自然治癒すると言われていますが、円形脱毛症になりやすい体質の人もあり、そういう人は再発を繰り返します
<お勧めの栄養素>
亜鉛、ビオチン、ビタミンAなど
【びまん性脱毛症】
頭の広い範囲で均等に毛が抜けて薄くなり、特に頭頂部の皮膚が透けて見えるようになります。
年齢的には中年以降の女性によく見られます
原因は様々で、極端なダイエットによる栄養不足、老化、ストレス、経口避妊薬(ピル)、過度なヘアケアなどが挙げられます。
<お勧めの栄養素>
鉄、亜鉛、必須脂肪酸、ビオチン、葉酸、ビタミンB6、ビタミンB12、アミノ酸(タンパク質)、ビタミンAなど
毛髪はケラチンというタンパク質でできているため、その材料となるアミノ酸(タンパク質)やタンパク質を体内で代謝する時に必要となるビタミンB群、亜鉛などは欠かせないですね
平成26年の国民健康栄養調査の結果をみると、所得の低い世帯ほど肉や野菜を食べておらず、代わりに炭水化物(ご飯、パン、麺など)を多くとっているようです。
炭水化物が中心の食事ではタンパク質やビタミン、ミネラルが不足しがちです
「朝はパン、昼は丼物、夜はパスタ」のような食生活をしている方は要注意です
また、女性はダイエットをしている方が多く、タンパク質を中心として全体的に栄養素が足りていない印象があります。
私たちの体は食べた物でできており、特に体を作るために必要なタンパク質は重要です
※炭水化物や脂質はエネルギーにはなりますが、体を作る材料にはなりません(余分なものは脂肪として蓄えられますが…)
抜け毛の問題だけではなく、健康な体を作る上でも食事はバランス良く取りたいものです
ちなみに、最近の東京医科歯科大学の研究によって、抜け毛は毛の毛包幹細胞と呼ばれる細胞のDNAのダメージが蓄積し、XVII型コラーゲンが減少することで起こるという事が判明しました
DNAのダメージを防ぐには抗酸化物質、コラーゲンの生成にはビタミンCや鉄が大切な働きをします
現代人はビタミンCが全然足りていません
また、女性では70歳未満、男性は1~19歳と30歳代で鉄の摂取量が推奨量を下回っています
是非、ご自身の食生活を見直してみてください
(さ)
<参考>
・日本臨床毛髪学会サイト(http://www.jschr.org/datumou01.htm)
・日本医学育毛協会サイト(http://www.hatumo.jp/sitemap.html)
・GABY Nutritional Medicine
・http://www.info.pmda.go.jp/go/pack/249900XF1021_2_07/
・http://www.mhlw.go.jp/file/05-Shingikai-11121000-Iyakushokuhinkyoku-Soumuka/0000037183.pdf
・メルクマニュアル医学百科 家庭版(http://merckmanuals.jp/home/%E7%9A%AE%E8%86%9A%E3%81%AE%E7%97%85%E6%B0%97/%E6%AF%9B%E3%81%AE%E7%97%85%E6%B0%97/%E8%84%B1%E6%AF%9B%E7%97%87.html)
・平成26年「国民健康栄養調査」の結果(http://www.mhlw.go.jp/stf/houdou/0000106405.html)
・国立大学法人 東京医科歯科大学サイト(http://www.tmd.ac.jp/press-release/20160205/index.html)