酵母は私たち人間にとって身近な存在であり、酵母と言えばパン🍞やビール🍺など、身近な食品に用いられています。
しかし近年では、酵母を含む食品を摂取することで一部の方にアレルギー症状が出てしまうことが知られています。
そこで今回は「酵母とはどんな生物なのか?」について簡単にご紹介します
酵母とは
酵母は英語ではyeast(イースト)と言い、カビ(糸状菌)やキノコ🍄と同じ真菌の仲間です💡
アルコール発酵能力に優れており、古くから世界中でパンや酒造りに利用され、私たちは酵母から作られる産生物を生活に役立ててきています。
生物界は「細胞核」を持つ「真核生物」と持たない「原核生物」に分けられますが、酵母は真核生物でありその中の菌界類に属しています。
ちなみに、原核生物の菌界類に属しているのが大腸菌や乳案菌などの細菌で、細菌は真菌に比べて非常に小さいのが特徴です。
※ウイルスはさらに小さいです。
そのため、同じ「菌」でも真菌と細菌は全く別の生物であると考えられ、酵母は生物分類的には細菌よりも動物に近いと考えられます。
※Whittakerの生物5界説
酵母とカビとキノコの違い
酵母とカビとキノコの大きな違いは以下の通りです。
酵母
1個の細胞(単細胞)のまま成長して発芽や分裂などで増殖していく真菌。
カビ(糸状菌)
胞子で増殖する真菌。
キノコ
菌糸が融合・肥大し、子実体(キノコに相当)という胞子形成器官を作って増殖する真菌。
※子実体を形成しない菌も存在
酵母の生息場所
酵母の細胞壁はとても強いため、淡水、海水、土壌、植物、空気、食品、脊椎動物の消化管・呼吸器官、体表などあらゆる場所に生息しています。
また、酵母の種類によって好む生息環境が異なり、その環境に対応した細胞壁の構造や機能を備えています。
例えば、しょう油や味噌を作る時に使われる酵母(Saccharomyces rouxii)は耐塩性酵母と呼ばれ、塩分濃度が高くても生息可能で、真菌感染症の場合には血液や組織内にも存在が認められることがあります。
病原性を示す酵母
私たちの生活は酵母に支えられている部分もありますが、一方でヒトに病原性を示す酵母も存在します😣
酵母に感染する疾患は酵母日和見菌感染症とも呼ばれ、カンジダ症(口腔、性器、皮膚など)やクリプトコッカス感染症などが有名です。
病原性酵母は通常は無害で、哺乳類の口や鼻、腸管、皮膚などに常在していますが、私たちの免疫が弱まると病原性を示すようになります。
例えば、抗生物質の投与やHIV感染、自己免疫疾患など免疫が異常に落ちている場合に重篤な症状を示す原因となります。
また、免疫が弱まっている時は、環境中に浮遊・存在している酵母でも感染してしまう可能性があります。
ちなみに、酵母感染症(真菌症)の治療には化学療法が一般的です。
しかし、酵母にも薬剤に対する耐性があり、何度も投与することで薬剤が効かなくなる可能性があると言われています。
また、真菌である酵母とヒトの細胞は似ている部分が多いため、ヒトに影響を与えないで酵母にのみ毒性を持たせる薬剤の開発は難しいようです。
まとめ
十分な栄養・休息をとってストレスを回避し、免疫力の低下を予防して酵母と仲良く生活していきたいですね✨
次回は、真菌感染症の原因菌のひとつで酵母の仲間である「カンジダ菌」に着目してまとめたいと思います。
お楽しみに~😀
(さ)
酵母のすべて(大隅良典・下田親:編)
東京農総研研報7:1-52,2012
モダンメディア58巻9号2012
モダンメディア55巻8号2009