最近、「若い女性の低栄養」が話題になっていますね
以前のブログで、平成25年の国民健康栄養調査結果まとめについて触れたことがありますが、日本人の多くの方が栄養素が足りておらず、身体状況や身体活動についても問題があることを指摘させていただきました
・平成25年国民健康・栄養調査結果のまとめ
・平成25年国民健康・栄養調査結果のまとめ②
今回は「若年女性の栄養状態」に焦点を当ててまとめたいと思います
●日本人の若年女性の栄養素補給の実態
日本人は全体的にタンパク質は比較的十分摂取できていますが、エネルギーは少なく、ビタミンやミネラルなどの微量栄養素が不足しています
特に若年女性ではそれが顕著に表れており、平成25年国民健康栄養調査結果をみると不足の深刻さがうかがえます
※両グラフとも、エネルギーの基準としているものは身体活動レベルⅡの推定エネルギー必要量です。
身体活動レベルⅡとは、「座位中心の仕事だが、職場内での移動や立位での作業、接客の他、通勤や買い物、家事、軽いスポーツなどのいずれかを含む日常生活を送っている場合」を指します。
エネルギーの摂取量は、小学生(7歳)以上を比較すると20歳代が最も少なく、1日1,628kcalしか摂取できていません。
終戦直後(1946年)の都市部での1日の摂取エネルギー量でも1,696kcalあったそうですが、20歳代女性は終戦直後よりも食べていないことが分かります
また、栄養素摂取量については20歳代女性をピックアップしましたが、20歳代女性だけでなく15~49歳の女性でもその傾向にはそれほど大きな違いはありません。
エネルギーの他にビタミンA、D、E、B1、B2、B6、葉酸、C、カリウム、カルシウム、マグネシウム、鉄、亜鉛など多くの栄養素が不足している状況などが分かります。
摂取エネルギーが少ないということは食べる量が少ないということなので、栄養素が十分に補給できないのは当たり前かもしれませんが、これで健康を維持できるのかは疑問が残りますね…
●痩せ傾向について
女性の肥満者の割合は 20.3%で10 年間で減少傾向ですが、やせている人の割合は平成25年では 12.3%であり、10年間で増加傾向です。
この若年女性の低栄養の原因のひとつとしては、「女性は痩せていなければ魅力的でない」といった社会的な風潮が考えられます。
BMIとは(Body mass index)の略で、身長(m)の二乗に対する体重(kg)の比で体格を表す指数ですが、普通体重は18.5≦ BMI <25の範囲で、MBI 22が理想とされ、BMI 25以上は肥満、BMI18.5未満は痩せと判断します。
例えば身長が155㎝の女子の場合、理想体重は52.9㎏であり、最低でも44.4㎏は必要です。
この体重が重いと感じてしまうのはとても問題で、普通体重であるにもかかわらず無理な減量をしてしまうと、貧血や月経不順・停止などの不調を引き起こし、不妊の原因になってしまうだけでなく、中高年以降の骨粗鬆症のリスクが増加してしまう心配があります
そして、20歳代女性に関しては、痩せだけが問題ではありません
平成25年時点では、女性の中で喫煙率が最も高いのは20歳代で、その割合は12.7%もあります。
また、座ったり寝転がったりして過ごす時間(睡眠時間は含まない)が1日に 10 時間以上ある人の割合は、女性においては平日、休日ともに20歳代女性が最も高く、70歳代以上の高齢の方より動いていません。
20歳代に限ったことではありませんが、若い女性はこれから子供を産む人であり、子供を育てている人であり、働いて日本を支える人でもあります。
これからの日本を元気にしていくためには、社会全体の意識改革から始める必要がありそうですね。
今の問題に気づき、それではダメだと感じ、健康的な生活をする人が増えるのを願うばかりです。
(さ)
<参考>
・厚生労働省のホームページ
・独立行政法人 国立健康・栄養研究所のホームページ
・日本人の食事摂取基準 2015年版