前回は「腸内環境と免疫について①」ということで、主に腸内細菌についてまとめました
今回は、「免疫システムと腸」について簡単にまとめたいと思います
●免疫とは
免疫とは、大きく以下の2つの機能を指します
・自分と違う異物を区別し、自分は攻撃せずに自分を傷つける異物をやっつける
・侵入してきた異物を記憶し、再度侵入してきた時に攻撃する
ここでの異物とは、ウイルスや病原菌などの免疫機能を発動させるタンパク質のことで、こういったタンパク質を「抗原」と呼びます。
抗原への対応は「自然免疫」と「獲得免疫」に大別されます。
<自然免疫>
補体やリゾチームなどのタンパク質、マクロファージや好中球やナチュラルキラー(NK)細胞などの細胞が常に体内をパトロールし、抗原を見つけたらやっつける。
<獲得免疫>
自然免疫だけでは太刀打ちできない強敵に対して働く。
強敵だけを認識して攻撃する細胞(T細胞、B細胞)やタンパク質(抗体など)を作り出して抗原をやっつける。
しかし、抗体が作り出されるまでは1週間程度かかると言われている
●T細胞とB細胞
獲得免疫の主役を演じるのはT細胞とB細胞で、T細胞は免疫の司令塔とも呼ばれ、B細胞に指令を出す「ヘルパーT細胞」、過剰な免疫反応を抑制する「制御性T細胞」、ウイルスに感染した細胞を破壊する「キラーT細胞」などの種類があります。
B細胞に関しては、ヘルパーT細胞の指令を受けて抗体を作り出します。
ひとつのB細胞は1種類の抗体しか作れず、また1種類の抗体はひとつの抗原しか認識できないため、ヒト体内では数えきれないほどの種類のB細胞がそれぞれ異なる抗体を作り出し、私たちの体を守っています
抗体は「免疫グロブリン」とも呼ばれ、大きく以下の5種類に分けられます
・免疫グロブリンG(IgG)
血液中に最も多く、IgGは唯一胎盤を通過するため、胎児や新生児の免疫に重要な働きをしている。
・免疫グロブリンM(IgM)
病原やウイルスに感染した時に最も早い時期に出現する。
・免疫グロブリンA(IgA)
腸管で作られて体中の粘膜組織に配送され、体内で最も多い。
口から侵入し、腸に達した病原菌に対するバリケードとなり、体内への侵入を防ぐ。
・免疫グロブリンD(IgD)
働きは不明。
・免疫グロブリンE(IgE)
体に障害を与えてしまうことがあり、アレルギー反応を起こす。
●免疫と腸の関係
腸管には、全身にある免疫細胞のひとつであるリンパ球の60%以上が集中して存在しています。
また、抗体の約60%は腸管で作られていると言われており、それほど免疫に対する腸の役割が大きいことを示しています
腸には腸独特の器官である「パイエル板」が存在し、パイエル板の中の広い空間でT細胞やIgAを産生するB細胞などが待機しています。
病原菌が発見されると、IgAが粘膜からの病原菌の侵入を防ぎます。
また、腸管上皮にはキラーT細胞も潜んでおり、腸管に侵入してくる異物を攻撃しています
毎日元気に過ごすには、やはり腸を元気にする必要がありますね
次回は、免疫についてもう少し詳しくまとめたいと思っています
(さ)
<参考>
・食と健康のための 免疫学入門(監修:京都健康フォーラム)
・体の中の外界 腸の不思議(著:上野川修一)