男性ホルモンの代表的なものはテストステロンですが、体内のテストステロンの働きが低下してしまうのには様々なものが影響します。
今回は、「テストステロンの働きを低下させるもの」についてまとめたいと思います
目次
テストステロンの働きを低下させるもの
加齢
加齢によって、性腺刺激ホルモン放出ホルモンや黄体形成ホルモン、卵胞刺激ホルモンの分泌量が減少するため、テストステロンが作られにくくなります。
また、総テストステロンは加齢により増加しますが、生物的活性テストステロン(アルブミン結合型テストステロン、遊離テストステロン)は低下してしまいます。
インヒビン
インヒビンは精子形成を維持すると言われていますが、過剰になるとネガティブフィードバックが起こりテストステロン分泌を抑制してしまいます。
テストステロンの制御機構
神経内分泌機構の機能低下
過度のストレスによって副腎機能が低下する(アドレナルファティーグ)と、ストレスホルモンであるコルチゾールの量が多くなり、テストステロンが作られにくくなってしまいます。
肥満
肥満によって内臓脂肪が増加すると、テストステロンを女性ホルモンに変換する酵素(アロマターゼ)の分泌量が増加し、女性ホルモンが増え、さらにテストステロンの分泌が抑えられます。
また、加齢した時の様に総テストステロンが増加して生物的活性テストステロンが減少。することが分かってきています。
グレープフルーツ
グレープフルーツに含まれるフラノクマリンという物質によって女性ホルモンの分解が抑えられ、女性ホルモン濃度が増加してしまいます。
女性ホルモンによってテストステロンの分泌は抑えられてしまうため、テストステロンは減少してしまいます。
甘草(リコリス)
甘草は多くの漢方薬に使用されていますが、甘草に含まれるグリチルリチンはコルチゾールを増加させる作用があります。
コルチゾールが増加すると、副腎でのステロイドホルモンの合成が抑えられるため、男性ホルモン量も減少してしまいます。
ステロイドホルモンの合成経路
飲酒
飲酒によってテストステロンが減少することが分かっています。
特にビールに使用されているホップには女性用ホルモン物質が含まれるため、ビールの飲みすぎは注意が必要です。
喫煙
喫煙によってテストステロンは増加しますが、薄毛の原因とも言われるジヒドロテストステロンも増加してしまいます。
また、喫煙することで体には様々な害が生じます
しかし、禁煙すると男性ホルモンが低下してしまいうため、男性が禁煙する場合は、男性ホルモンを補充しながらするのが良いと言われています。
薬剤
カルバマゼピン(テグレトールなどの抗痙攣薬)、クマリン誘導体(ワーファリンなど)、抗ヒスタミン剤、スタチン製剤、フィブラート系薬剤、抗うつ剤(SSRIなど)、降圧剤(β遮断薬)、DDT(農薬)、殺虫剤などの薬剤はテストステロンを阻害してしまうと言われています。
体外エストロゲン
石油化学製品(ビスフェノールAなど)、環境汚染物質(環境ホルモン)、乳製品、卵、大豆製品などには女性ホルモン用物質が含まれています。
まとめ
ホルモンはバランスが大切と言われますが、上記のような様々なものに影響されます。
肥満は解消する、飲酒は程々にする、食べる物に気を付けるなど、ストレスがたまらない範囲でテストステロンの働きが低下しないように気を付けてみてください。
男性ホルモンとはどんなものなのかについては下記でご紹介しています。
(さ)
・メルクマニュアル(http://merckmanual.jp/mmpej/index.html)
・岡山医学会雑誌 第119巻 May 2007, pp. 83-85
・N Engl J Med 1999; 341:1158
・日病薬誌 第43巻9号(1171-1173 )2007年
・環境省のホームページ(http://www.env.go.jp/chemi/end/speed98/gassed/mat03.pdf)
・ナチュラルテストステロン スティーブン・ハロッド・ビューナー 著
・http://www.nejm.org/doi/full/10.1056/NEJM199910073411515