先日、お客様よりマグロをちょうだいし、お昼にスタッフで美味しくいただきました🐟
美味しくいただいている時、一部のスタッフでは
「血合いに含まれるのはヘモグロビン?それともミオグロビン?」
と話題になりました💡
これをきっかけに「ヘモグロビンとミオグロビンの違い」について調べましたので、簡単にご紹介したいと思います。
ヘモグロビンとは
ヘム鉄(以後、ヘム)を含む四量体(4つのタンパク質が結合した)タンパク質で、血液の中の赤血球中に存在し、酸素を各組織に運搬して二酸化炭素と水素イオンを受け取り、肺組織に戻す働きをします。
4つのタンパク質はサブユニットと呼ばれ、それぞれのサブユニットにひとつずつ合計4個のヘムを含みます。
ヘムあたり1個の酸素と結合するため、ヘモグロビンは4個の酸素を運ぶことができますが、ひとつのヘムに酸素が結合すると他のヘムに酸素が結合しやすくなるという特徴があります。
そのため肺で最大限に酸素と結合して末梢組織で最大限の酸素を放出できるので、酸素の運搬に適しています。
ヘモグロビンといえば糖尿病の診断でよく見られるヘモグロビンA1c(HbA1c:糖化ヘモグロビン)を思い浮かべる方がいらっしゃるかもしれませんが、HbA1cは血液中のグルコース(ブドウ糖)とヘモグロビンが反応してヘモグロビンが糖化したものです。
血糖値が高い状態が続くとその量が増え、HbA1cが半分入れ代るのは一般的に約60日なので、HbA1cの量は最近1~2か月の血糖値の平均を示すと考えられます。
HbA1cについては以前まとめていますので、詳しくはそちらをご覧ください。
「ヘモグロビンA1c」
ミオグロビンとは
ヘモグロビンと同様にヘムを含むタンパク質ですが、単量体(1つのタンパク質)であり、ミオグロビンにはひとつのヘムが含まれます。
ミオグロビンは赤色筋肉(持久力に関わる筋肉)に存在し、酸素が不足した場合に対応できるように酸素を蓄える働きをします。
筋肉(筋繊維)の種類についてのまとめた記事もご覧ください↓
一般的な組織での酸素濃度ではミオグロビンは酸素を放出せず、運動によって筋肉中の酸素濃度が低下した時に酸素を放出するため貯蔵に適しており、ヘモグロビンのような酸素の運搬には向いていません。
ミオグロビンに酸素が結合するとオキシミオグロビンになり鮮赤色となりますが、長く空気(酸素)と接触しているとヘムの鉄が酸化されてメトミオグロビンとなり色が褐色となります。
新鮮な生肉が鮮やかな赤色をしているのに、時間が経つと色が悪くなるのはこういった理由からです。
また、肉を加熱した時に肉の色が灰褐色に変化するのは、加熱中に空気中の酸素によってミオグロビンがメトミオグロビンとなり、タンパク質が熱変性してメトミオグロモーゲンができるからです。
もし新鮮な肉を密封して加熱(レトルト殺菌など)すると、肉の中心部の色は生焼けのような色になりますが、開封して放置すると酸素と反応して灰褐色となります。
ヘモグロビンもミオグロビンもヘムを含むので赤色をしていますが、魚の切り身も血合いも筋肉なので、血合いに含まれるのはミオグロビンですね。
ちなみに、イカ🦑やタコ🐙、エビ🦐など軟体動物や節足動物の血液に多く含まれるのは、鉄ではなく銅を含むヘモシアニンというタンパク質です。
そのため、イカやタコの血液は赤色ではなく青色をしています。
体の部位や生物によって酸素を供給するタンパク質の種類は違うんですね。
(さ)
・標準食品学総論 第2版 青柳康夫・筒井知己 著