日本人の閉経前の女性の約70%は鉄欠乏(貧血)だと言われていますが、多くの方は
「私は血液検査でヘモグロビンが正常だから貧血ではない」
と考えているような気がします。
しかし、ヘモグロビンの値が正常でもフェリチンの値が低ければ貧血であると考えられます。
今回はこの隠れ貧血を示す「フェリチン」について簡単にご紹介します
●見落とされやすい鉄不足
鉄不足によって起こり得る症状には
・顔色が悪い
・めまい、立ちくらみ
・疲れやすい
・風邪をひきやすい
・神経過敏
・注意力低下、イライラ
・髪が抜けやすい
・肌荒れ
・寝起きが悪い
・頭痛
・肩こり
・歯茎の出血
など様々あります。
上記の症状が当てはまる女子は結構多いのではないでしょうか
一般的に、貧血(鉄不足)の診断は「ヘモグロビン(血色素)」で行われ、ヘモグロビンの正常値は分析機関によって若干異なりますが、女性の場合は12~16g/dL程度が正常値とされています。
しかし、ヘモグロビン値は正常でも体内では鉄が不足しているという状況は珍しくなく、一般的な血液検査で問題なくても貧血症状で悩んでいる方がいらっしゃいます
そこで、隠れ貧血を見つけるために重要となってくるのが「フェリチン」です
●フェリチンとは
フェリチンは体内に存在する鉄貯蔵タンパク質です。
小腸から体内に吸収された鉄はフェリチンに蓄えられ、鉄が不足するとフェリチンの鉄が利用されます。
そのため、基本的には鉄が不足するとフェリチン値は低くなります
順番としては
フェリチンの減少
血清鉄の減少
ヘモグロビンの減少
のように減っていくので、フェリチン値を測定することで、ヘモグロビン値が正常で表向きは貧血でないけれども、いずれ貧血になる可能性のある「隠れ鉄欠乏症(潜在性鉄欠乏)」が分かります。
そして女性では、血清フェリチン値が15μg/L以下であれば鉄欠乏性貧血が確認されたことになり、鉄の補給が必要となる可能性があります。
また、臨床の先生のお話を聞いていると、血清フェリチン値が30μg/Lを下回ると上記のような様々な鉄不足の症状がみられるようになることが多いそうです。
一般的な血液検査ではフェリチン値は測定されないため、フェリチン値を測定したい場合には医師と相談するのがお勧めです
※鉄不足であっても感染症や慢性炎症、ガンなどではフェリチン値が高くなることがあるので、フェリチン値のみでの貧血の診断には注意が必要です
鉄不足が発見されると、医薬品の鉄剤(クエン酸第一鉄、硫酸鉄など)が処方されることがほとんどです
しかし、医薬品の鉄剤は保険が適用されるため経済的な負担は軽いですが、刺激が強く吸収されにくい形をしているため、胃の不快感や便秘など胃腸症状の副作用が出てしまうことが多いのが難点です
鉄不足の場合、健常な方に比べて胃腸の粘膜が弱くなっていることが多いので、より副作用が出やすいんです
そんな時は「ヘム鉄」での鉄補給がお勧めです
医薬品にヘム鉄を使用したものはないため、保険適用のないヘム鉄のサプリメントを選択することになってしまいますが、ヘム鉄は刺激が少なく鉄剤よりも吸収されやすい形をしているため、副作用が起きにくいのが特徴です
胃腸の粘膜がとても弱くなってしまっている人の中には、ヘム鉄でも副作用が出てしまう方もいらっしゃるようですが、鉄剤の副作用でお悩みの場合には「ヘム鉄」を試してみる価値はあると思いますよ
(さ)
<参考>
・独立行政法人 国立健康・栄養研究所 「健康食品」の安全性・有効性情報のホームページ
・イラストレイテッド ハーパー・生化学 [原書29版]
・厚生労働省 「統合医療」情報発信サイト(http://www.ejim.ncgg.go.jp/pro/overseas/c03/07.html)
・独立行政法人 医薬品医療機器総合機構のホームページ(http://www.info.pmda.go.jp/iyaku_info/file/kigyo_oshirase_201301_1.pdf)