「昔に比べて今の野菜は栄養価が少なくなっている」
という話をよく見聞きします
本来、栄養素の補給はサプリメントに頼らず食事からするのが基本です
しかし、「野菜の栄養価が少ないなら野菜を摂ってもあまり意味ないよね」では、野菜の生産者さんも八百屋さんもたまったものではありません。
でも、本当に今の野菜は栄養が少ないのでしょうか
今回は、このことについて検証してみようと思います
●栄養素の分析方法の違い
ビタミンCに着目して、同じ野菜を昔の分析方法(滴定法、比色法)と今の分析方法(HPLC法)で比較した試験があります。
その結果、ほとんど全ての野菜において今の分析方法で分析した方が、ビタミンC量が少なかったそうです
そのため、昔の野菜に比べて今の野菜は栄養価が減っているように見えるのです
●旬の時期でない野菜の生産
旬の野菜の栄養価は昔も今も変わらず、野菜は旬の時期に充実した栄養価を持つことが分かっています
しかし、昔は野菜は旬の時期にしか生産できなかったのですが、今ではハウス栽培の普及によって季節を問わずいつでもどんな野菜でもほとんどの場合入手可能です。
文部科学省が発表している、食品の栄養価がまとまっている「日本食品標準成分表」というものがありますが、これが2000年に改訂された時に、旬の時期だけではなく年間を通じて食べた時の平均値を記載するようになり、旬ではない(栄養価が低い)時の分析値も反映されるようになりました
そのため、旬の栄養価が高い時の野菜を分析した昔に比べて今の野菜は栄養価が少なくなっているように見えてしまいます。
<例:ほうれん草に含まれるビタミンC量の変動>
日本食品低温保存学会誌 Vol.23、No.1(1997)
しかし、トマトだけは変わったそうです
昔のトマトは酸味が強かったのですが、消費者が甘いトマト選択したために酸味のあるトマトの姿を見なくなりました。
酸味のあるトマトに比べて甘みの強いトマトは、ビタミンC量は半分以下だと言われています
これは、甘味を求められているその他の野菜や果物(ビーマン、イチゴ、みかんなど)でも言えることかもしれませんね
日本人は野菜の摂取が少なくなっていると言われています
また、カット野菜や水煮食品、加工食品の利用が増え、食事からの栄養素の補給が十分にできていない人も多いと考えられます。
新鮮な旬の野菜を購入して家庭で一から調理すれば、しっかりと栄養素の補給ができます
そうすれば、サプリメントなんて必要なくなり、食材にお金をかけられますね
自分や家族の健康のために、是非、毎日の食事を見直してみてください
※旬の野菜が分からない場合には八百屋さんに相談すれば教えてくれるので、行きつけの八百屋さんを作ると良いかもしれないですね
(さ)
<参考>
・https://www.jstage.jst.go.jp/article/eiyogakuzashi/68/2/68_2_141/_pdf
・独立行政法人 農畜産業振興機構のホームページ(http://vegetable.alic.go.jp/yasaijoho/joho/0811/joho01.html)