コリンは、ビタミンB群の仲間と言われるビタミン様物質ですが、最近では様々な働きが報告されています
そこで今回は「コリンについて」簡単にまとめたいと思います
●コリンとは
ビタミンB群に属するコリンは水溶性のビタミン様物質に分類され、食品中では、ホスファチジルコリン(レシチン)やスフィンゴミエリンなどの形で存在しています。
生体内ではリン脂質の構成成分であり生体膜機能に必須な栄養素です。
また神経伝達物質のアセチルコリンの前駆物質であり神経刺激伝達維持に関わっています
家畜や家禽、魚類では、コリンの不足によって脂肪肝や成長の低下などの障害が起こることが分かっています
ヒトでもある種の脂肪肝はコリンの欠乏によって引き起こされることが分かってきており、コリンは脂肪肝防止因子と呼ばれるようになってきました。
●コリンの体内合成
コリンは体内で合成することができる栄養素なのでビタミンではなくビタミン様物質と呼ばれますが、体内では以下のようにして作られます
①ホスファチジルコリンの合成
・肝臓内でホスファチジルトランスフェラーゼによってホスファチジルエタノールアミンからホスファチジルコリンを合成
[SAMe(S-アデノシルメチオニン)がメチル基を与える]
・食事から得られるコリンからホスファチジルコリンを合成
②ホスファチジルコリンの分解して再利用
・ホスファチジルコリンのコリンとセリンの塩基置換反応によりコリンを生成
●アメリカでのコリンの扱い
アメリカでは1998年にThe Federation of American Societies for Experimental Biology (FASEB)が「コリン」を必須栄養素として認識し、適正摂取量を定めています。
・成人男性 …550㎎/日
・成人女性 …425㎎/日
コリンは肝機能(脂肪肝)だけでなく美容やスポーツパフォーマンス向上、認知機能向上など様々な働きが期待されています
体内でもコリンを合成することができますが、その量はそんなに多くないので食事から十分に摂取しましょう
ちなみに、コリンは卵や肉、魚、大豆製品などに多く含まれていますよ
(さ)
<参考>
・国立健康・栄養研究所 「健康食品」の安全性・有効性情報
・農林水産省 動物医薬品検査所ホームページ
・http://biosciencedbc.jp/dbsearch/Literature/get_pne_cgpdf.php?year=1990&number=3506&file=FbVhozB7hdOd0lPLUSzrdjDPw==
・イラストレイテッド ハーパー・生化学[原書29版]
・ストライヤー 生化学 第6版
・日油株式会社のホームページ