前回は乳酸菌とビフィズス菌の違いについてまとめました
(乳酸菌とビフィズス菌は全然違う!)
今回は、乳酸菌やビフィズス菌の安全性などについて簡単にまとめたいと思います
●世界における乳酸菌とビフィズス菌の安全性
欧米と日本では、食品に使用する微生物の安全性審査基準は大きく異なります。
それぞれの安全性審査基準は以下の通りです
【アメリカ】
1997年11月までに使用実績のない菌株について食品に使用する場合、菌株ごとに一般に安全と認められる食品(GRAS)認証が必要で、サプリメントで使用する場合には、新しい食物成分(NDI)の認定も必要。
【EU】
欧州食品安全機関(EFSA)が安全性資格認定(QPS)で認定された菌種リストがあり、このリストに含まれていない菌種は使用が難しい。
【日本】
国や専門的な組織の審査は一切なく、製造販売社の自己責任。
●なぜ安全性審査基準があるのか?
日本では、善玉菌と呼ばれる乳酸菌やビフィズス菌は安全なものだと考えられています。
しかし、全ての乳酸菌とビフィズス菌が安全ということはなく
・腸管内細菌が腸管外組織に移行することで起こる菌血症や心内膜症の危険はないか
・毒素や有害物質を産生しないか
・抗生物質耐性がほかの菌にうつらないか
という心配があります
そのため、欧米では安全性審査基準を設けて安全だと分かった微生物のみ食品に使用されています。
●乳酸菌やビフィズス菌の由来
乳酸菌やビフィズス菌はヒト由来、動物由来、植物由来(乳酸菌のみ)など様々あり、ヒトがヒト由来でない微生物を摂取しても何らかの効果があったという研究結果は多くあります
しかし、例えばヒトの腸にすむビフィズス菌種は動物の腸内からはほとんど見つからず、動物のビフィズス菌種はヒトの腸内にはすみつかないと考えられており、さらに同じヒトであっても赤ちゃんと成人では腸の菌叢が全然異なるようです
赤ちゃんと成人でも共通したビフィズス菌も存在するようですが、赤ちゃんにしかいないビフィズス菌、成人にしかいないビフィズス菌、動物由来のビフィズス菌をそれぞれ母乳で培養すると、成人と動物のビフィズス菌は死滅し、赤ちゃんのビフィズス菌は元気に培養されるようです。
成人のビフィズス菌までも死滅してしまうなんて驚きです
もし補う場合、少なくとも赤ちゃんには赤ちゃんのビフィズス菌が必要そうですね
乳酸菌やビフィズス菌の商品を出しているメーカーの中には、ヒトでの摂取試験を行い、菌株によってそれぞれの効能を謳っている会社も多くあります。
同じ菌種でも菌株が違うと性質や機能が異なるため、摂取する前にその菌株についてよく調べ、色々試して自分に合ったものを探すのがお勧めです
(さ)
<参考>
・森永乳業 ビフィズス菌研究所(http://bb536.jp/)