お問い合わせを受けていて「便秘に悩んでいる方が多い」と感じます。
特に女性で多いですが、意外と男性でも悩まれている方もいらっしゃるようです
そこで今回は、「便秘に良い栄養素」について簡単にまとめたいと思います
●便秘とは
便秘とは、明確な定義があるわけではありませんが、便中の水分が乏しく硬くなったり便の通り道(腸管)が狭くなり、排便が困難になったり排便をあまりしない状態のことを言います
通常、排便は1日1~2回あります。
もし、2~3日に1回の排便でも排便状態が普通で本人が苦痛を感じない場合は便秘とは言いませんが、毎日排便があっても便が硬くて量が少なく残便感がある場合や、排便に苦痛を感じる場合は便秘と言えます
そして、便秘は大きく以下の2つにけられます
①機能性便秘 …腸管機能の異常による便秘
※機能性便秘はさらに「弛緩性便秘」「痙攣性便秘」「直腸性便秘」の3つに分けられ、便秘の日本人は約2/3が弛緩性便秘と言われています
特に、弛緩性便秘は高齢者ややせ型の女性、寝たきりの方などに多いそうです
<弛緩性便秘のイメージ図>
②器質性便秘 …腸管の疾病による便秘
●便秘の原因
便秘を引き起こす要因は
・不規則な食事・生活
・食物繊維・水分・脂質などの摂取不足
・低栄養
・ビタミン欠乏症
・全身衰弱
・緊張・恐怖・悲しみなどの精神的要因
・神経障害
・浣腸や下痢の乱用
・体質
・職業性(便意があっても排便できない職業の人)
・便意を抑制する習慣
など様々です。
便秘になると便通不良になるだけでなく、腸の内容物が腐敗するなどして有害物質が生成され、下腹部の不快感・膨満感・腹痛・悪心・嘔吐・肌荒れなどの症状が出てくる恐れがあります
便をためても何にもいいことはありません
●便秘に良い栄養素
器質性便秘は腸管の疾病(結腸癌・直腸癌・イレウスなど)を根本的に治療する必要があるため、機能性便秘(特に弛緩性便秘)に良い栄養素を以下にまとめます
【乳酸菌・ビフィズス菌】
乳酸菌やビフィズス菌のおなかの調子に対する作用は、特定保健用食品の審査で認められています。
菌の種類によって働きは異なりますが、乳酸や酢酸などを分泌して悪玉菌の増殖を抑え、腸の働きを良くしてくれます
【グアーガム(水溶性食物繊維)】
便秘の場合は便を軟らかくし、さらに下痢の場合では過度な水分を吸収することで便中の水分を正常化します。
また、胃や腸で吸収されるコレステロールとグルコース(ブドウ糖)の量を減らす働きもする優れものです
【オリゴ糖】
乳酸菌やビフィズス菌のエサとなり腸の状態を整えてくれます
そして、おなかの調子を整える機能、カルシウムの吸収を促進する機能が特定保健用食品の審査で認められています
【マグネシウム】
腸内の便通を良くする働きがあります。
また、胃の中で胃酸の中和を助けるだけでなく、骨の成長・維持や神経、筋肉など多くの器官の機能にも欠かせないミネラルです
上記に弛緩性便秘に良いと言われる栄養素をまとめましたが、やはり予防や治療には、まずは規則正しい日常生活・食事・排便・適度な運動を心がけるのが良いですね
ちなみに、痙攣性便秘は主に腸管の自律神経失調により起こり、大部分は過敏性腸症候群だそうです。
精神的な影響を受けやすく、消化器症状以外の不定愁訴や自律神経失調症状を伴うことがよく見られ、便秘は繰り返し起こり、若年者や中年女性に多くみうけられます。
予防や治療には、規則正しい日常生活・食生活を心がけることが大切ですが、過労やストレスが原因であることも多いため、これらを解消することも重要です
過敏性腸症候群には、便秘にも下痢にも有効なグアーガムもお勧めです
あと、腸の状態を整えるためにはビタミンB群やビタミンA、亜鉛、グルタミンなどの栄養素もお勧めですよ
(さ)
<参考>
・厚生労働省 e-ヘルスネット
・日本消化器病学会のホームページ