デトックスや抗酸化物質摂取の目的で「α-リポ酸」を摂取されている方がいらっしゃるかと思います
しかし、α-リポ酸の摂取では「低血糖」という気を付けないといけない副作用に注意が必要です
そこで今回は「α-リポ酸と低血糖」について簡単にご紹介します
●α-リポ酸とは
α-リポ酸はチオクト酸とも呼ばれ、分子構造はこんな感じです
α-リポ酸が酸化された形のβ-リポ酸と区別するためにα-リポ酸と呼ばれています。
抗酸化力が強く、ビタミンCやビタミンEとは異なり、水溶性、脂溶性のどちらの環境下でも働くことができます
また、ミトコンドリア内でエネルギー産生に関わる酵素(ピルビン酸デヒドロゲナーゼ複合体)の補酵素としてビタミンのように働きますが、体内で合成できるためビタミンではなくビタミン様物質として扱われています
以前は、日本国内では医薬品の成分としてのみ取り扱われていましたが、2004年より一般のサプリメントに配合してよい成分となりました
ただ、日本人の場合は遺伝的にα-リポ酸が合わない方がいるため注意が必要だと言われています
●α-リポ酸と低血糖
α-リポ酸を摂取すると、人によってはインスリン自己免疫症候群を引き起こし、低血糖状態になってしまうと言われています
低血糖の症状は、前回のブログ(低血糖と低血糖症)でも書きましたが、冷や汗が出る、急に強い空腹感をおぼえる、動悸がする、手足が震える、ふらつく、頭痛などです。
インスリン自己免疫症候群は、HLA(DRB1*0406)遺伝子という特定の白血球の型をもつ人が、チオール基(SH基)を含む薬剤やサプリメントなどを摂取することで起こります
この遺伝子型は東アジアの中でも特に日本で多く存在(4~8%:25人に1~2人)し、欧米ではほとんど見られないそうです(欧米人は1%未満)
では何故この遺伝子を持つと低血糖症状が出てしまうのでしょうか
それは、この遺伝子を持つ人がSH基をもつ薬剤やサプリメントを摂取すると、インスリンのある結合(S-S結合)をSH基によって切られてしまうことで、白血球によってインスリン自己抗体が作られてしまうと考えられています。
インスリン自己抗体はインスリンと結合してインスリンの働きを妨げるため、すい臓からインスリンがたくさん分泌されてしまいます
しかし、インスリン自己抗体とインスリンの結合は弱いためすぐに外れてしまい、血液中にインスリンが過剰になってしまうために血糖値が下がり過ぎて低血糖になってしまうそうです。
自分がα-リポ酸を飲んでも大丈夫な遺伝子なのかは遺伝子検査をしてみないと分かりません
α-リポ酸はサプリメントで気軽に摂取できるようになりましたが、医薬品だけでなくサプリメントでも副作用が出てしまうこともあります
特に高容量で配合されている医療機関向けのサプリメントの場合には、医師の管理下で摂取するのがお勧めです
もしα-リポ酸を摂取して、冷や汗が出たり、急に強い空腹感を覚える、動悸、手足の震えなどがあった場合には、速やかにα-リポ酸の服用を中止して、医師や薬剤師に相談しましょう
(さ)
<参考>
・厚生労働省のホームページ
・国立健康・栄養研究所 「健康食品」の安全性・有効性情報