前回「重金属の汚染経路と対策」についてまとめました。
重金属対策としては汚染経路を遮断することが望ましいですが、実行が難しいことが多いため、現実的な対策として蓄積して悪影響を与える前にデトックスさせることが重要です。
そこで今回は、「重金属のデトックス」について簡単にまとめたいと思います
目次
デトックスとは
一般的に、デトックスとは体内の有毒物・老廃物を解毒したり、汗や尿、便などで排出させることです。
健康法のひとつとして、一般的には栄養法、運動法、入浴法などが紹介されていますが、重金属のデトックスには、腸内環境の改善や栄養療法などがよく勧められています。
重金属デトックスと腸内環境
食事から摂取した重金属は腸管から吸収されますが、腸には「必要な物を吸収していらないものを排泄させる」という機能があるため、摂取された重金属が全て吸収されるわけではありません。
しかし、腸の状態が良くない場合には、体に必要のない重金属がたくさん吸収されてしまったり、便秘がある場合には重金属も長く腸に留まるため、より体内に吸収されやすくなってしまいます
また、体内に吸収された重金属は主に便から排泄されると言われているため、まずは腸の細胞の状態や腸内環境を整える必要があります。
腸の細胞・腸内環境に良い栄養素
ビタミンA
ビタミンAは皮膚や粘膜などの細胞を作り出すために不可欠ですが、腸内の免疫に大きく関わります。
ビタミンAが不足すると、腸の粘膜細胞が弱くなってしまうだけでなく、腸の免疫力が低下して感染症にかかりやすくなってしまいます。
ビタミンB群
ビタミンB群の多くは腸内細菌が作り出すことが可能で、体内に吸収されて利用されるだけでなく腸の細胞の栄養にもなります。
腸内環境が良くない場合には、ビタミンB群の産生量は少なくなってしまうため、腸の細胞を元気にするためにはビタミンB群も大切です。
亜鉛
亜鉛は新陳代謝に不可欠なミネラルですが、ビタミンAの働きを助ける作用もあります。
腸の粘膜細胞を元気にするために必要なミネラルです。
アミノ酸(グルタミン)
グルタミンは腸の細胞だけでなく、免疫に重要なリンパ球やマクロファージなどのエネルギー源となります。
プロバイオティクス(乳酸菌、ビフィズス菌など)
摂取量は多すぎても少なすぎても良くないようです。
また、整腸作用や免疫増強作用、抗炎症作用など菌の種類によって働きが異なるため、自分に合ったプロバイオティクスを摂取するのがお勧めです。
プレバイオティクス(オリゴ糖、水溶性食物繊維など)
消化管で消化吸収されず、プロバイオティクスの栄養源となり腸内環境の改善に役立ちます。
また、水溶性食物繊維は重金属を含む有害物質を吸着して体外へ排泄させる働きもします。
重金属デトックスと栄養素
栄養素での重金属の排泄は、重金属を挟み込んで捕まえて毒性や吸収を軽減させ、排出を促進する「キレート作用」が主要な働きをします
キレート作用のイメージ
※キレートとはギリシャ語の「カニのはさみ」に由来しています
栄養素でキレート作用をもつものは様々あり、クエン酸やグルコン酸、硫黄などがあり、重金属を排泄させる薬(キレート製剤)としては硫黄を含む物質がよく使われています。
硫黄を含む物質
メチオニン、システイン、シスチン、オルニチン、α-リポ酸、、グルタチオン、MSM(メチルスルフォニルメタン)など
硫黄を含む物質が多く含まれる食材
にんにく、ニラ、玉ねぎ、ねぎ、らっきょう、大根、かぶ、わさび、キャベツ、ブロッコリー、ハクサイ
かつお・いわし・鮭・エビなどの魚介類など
※体内での重金属デトックスに働く物質にメタロチオネインがあり、この物質は亜鉛がないと作られません。
亜鉛は日本人のほぼすべての年代で不足している栄養素のため、積極的な摂取が望まれます。
まとめ
摂取した重金属を吸収しないようにするのも、吸収してしまった重金属を排泄するのにも腸はとても大切で、摂取した栄養素をきちんと吸収するのも腸の仕事です
「健康だけど便秘がある」という方は多いと思いますが、便秘があれば健康とは言えません。
みなさんの腸の状態は大丈夫ですか??
(さ)
・ストライヤー 生化学 第6版
・徳島文理大学 薬学部 公衆衛生学講座のホームページ
・goo辞書
・ミネラルの辞典(糸川嘉則:編集)
・細胞から「毒」が逃げ出す生き方 (澤登雅一:著)