普段生活している中で、みなさんは水銀や鉛などの重金属について気にしたことはありますか
健康に気を付けている人では、重金属を避けるような生活を心掛けているかもしれませんね
今回は、「重金属の汚染経路と対策」について簡単にご紹介します
●重金属とは
ミネラル(鉱物)は金属と非金属に分けられますが、金属の中でも比重が4以上の約60元素が重金属です。
その中でも公害などでよく問題となる重金属は、水銀、鉛、カドミウム、セレン、クロム、マンガン、コバルト、ニッケル、銅、亜鉛、ビスマス、鉄などです。
また、亜金属であるヒ素やアンチモン、軽金属であるアルミニウムやバナジウム、ベリリウムは重金属ではありませんが、重金属と同様の対策が必要だと言われています
ただ、重金属のすべてが体に悪いわけではなく、人には鉄や亜鉛、銅、コバルト、マンガンなどは必要不可欠なので、これらの金属は食物や地中、水中に含まれていなければ困るのですが、水銀や鉛、カドミウムなどは生物にとって必要ないとされています
●重金属の汚染経路
重金属の主な汚染経路は以下の3種類です
・環境汚染
古くは工業排水での水俣病の水銀、イタイイタイ病のカドミウムが知られており、最近では、歯の詰め物に使われている水銀アマルガムや予防注射の防腐剤として使用されあるチメロサール(有機水銀)が注目されています
この他、オゾン層の破壊の影響から酸性雨、排気ガス、産業廃棄物などの大気汚染で呼吸を通して汚染される経路もあります
・食物
穀物類、野菜類、魚介類はカドミウムや水銀などの有害重金属の摂取源として挙げられます。
「その含有量は極めて低レベルなので、健康に支障をきたす心配はない。」
と言われてきましたが、2002年12月には山形県の農家が食品衛生法で流通が禁止されている基準値1.0ppm以上を越えるカドミウム含有量の米を出荷したとして大きな話題になりました
そのため、農林水産省省では土壌の改良方法やカドミウムの吸収を抑える栽培法などの研究が進められています
また、健康食の代表の海藻類にもヒ素、アルミニウムが多く含まれていることも分かっています
・飲料
水道水を浄化するために塩素や、地域によってはアルミニウムが使われており、また、古い水道管では鉛製の可能性があるため、水道水によって重金属を含む有害物質を摂取してしまう可能性があります
●重金属汚染への対策
重金属やその他の有害物質は、特殊な環境に置かれていなくても摂り入れてしまうのが現状です
そのため、対策としては「体に入れない」が基本です。
・タバコの煙を避ける
タバコの煙にはカドミウムなどの重金属、ポロニウム-210などの放射性物質、70種類以上の発がん性物質など、約4000種類の化学物質が含まれています
そのため、喫煙している本人だけでなく、受動喫煙による健康影響についても気を付ける必要があります
喫煙しない方はタバコの煙を避け、喫煙される方はご自身や周りの方のために禁煙されるのをお勧めします
※受動喫煙による影響として、心筋梗塞や肺がん、子どもの呼吸器感染症や中耳炎、乳幼児突然死症候群等のリスクが高まることが明らかになっています。
・車の交通量の多い場所は避ける、長くいない
自動車の排気ガスには、鉛の他に窒素酸化物(NOx)、ダイオキシンなどの有害物質が含まれています。
車の交通量の多い場所は避けたり、長くいないようにすることで有害物質への暴露を減らすことができます
・小型の魚を選ぶ
食物連鎖によってマグロやカジキなどの大型の魚には水銀が蓄積しがちで、妊婦さんの場合、マグロやカジキは1回約80gを週に1~2回(約160g)までが目安とされています
しかし、サンマやイワシ、サバなどの小型の魚は水銀の蓄積が少ないため、魚を多く摂取したい場合は小型の魚を選ぶようにしましょう
・深海の魚には注意
深海(だいたい深度200m以上の海)に生息する魚類を深海魚と言いますが、深海と浅海を行き来する魚も多いため、比較的浅い場所でも底性の魚介類は水銀濃度がやや高い傾向があります。
キンメダイやムツ、メバルなどは毎日のようにたくさん食べないようにしましょう。
・海藻類の過剰摂取に注意
日本を代表する健康食品である海藻類(ヒジキや昆布、ワカメなど)には有害物質が比較的多く含まれている可能性があります。
そのため、海藻類を毎日大量に摂取することは避けた方が良いでしょう。
・水道水をそのまま飲まない
水の浄化過程や水道管の影響によって、水道水にはアルミニウムや鉛、塩素化合物などの有害物質が含まれている可能性があります
日本の水道水の安全性は世界でもトップクラスと言われますが、水道水をそのまま飲むよりは、浄水器などを通して飲んだ方がより安心で安全です
ヘルシーパスは静岡にある会社ですが、静岡県はマグロの水揚げ量、消費量ともに全国で1位(2008年調査)とマグロ大好き県であり、日常的にマグロが摂取されています
マグロはオメガ3系脂肪酸(EPAやDHA)が豊富で体に良いとされますが、食べ過ぎには注意ですね
(さ)
<参考>
・環境省のホームページ
・農林水産省のホームページ
・厚生労働省のホームページ
・ミネラルの辞典(糸川嘉則:編集)