前回は<空腹ホルモン「グレリン」>について取り上げました。
その中で、漢方薬の六君子湯(りっくんしとう)がグレリンを増加させるとご紹介しましたが、この六君子湯の作用にはノビレチンが関わっていると言われています
そこで今回は「ノビレチン」という栄養素について簡単にご紹介します
●六君子湯について
六君子湯は、9種類の生薬[陳皮(ちんぴ)、半夏(はんげ)、人参、白朮(びゃくじゅつ)、蒼朮(そうじゅつ)、茯苓(ぶくりょう)、甘草(かんぞう)、生姜(しょうきょう)、大棗(たいそう)]が配合されている漢方薬です。
消化器や呼吸器の機能を高める他、体内の水分バランスの調節などに働きます
●ノビレチンとは
ノビレチンとは、かんきつ類に多く含まれるフラボノイドの一種です
<ノビレチンの構造>
※6個のメトキシ基(-O-CH3)が特徴的です。
温州ミカン、ハッサク、夏みかん、バレンシアオレンジなどの他、特に大量に含まれるのはシイクワシャー(一般的には、シークワーサーとも読びます)やポンカン、タンカンなどです
ノビレチンは果皮に多く、果肉にはあまり含まれていないため、果汁飲料にも少ない成分です
しかし、遠心搾汁法で搾汁するシイクワシャー果汁には果皮からのノビレチンが混ざるため、果汁でも比較的高濃度で含まれています
六君子湯には陳皮が入っていますが、この陳皮にノビレチンが含まれます
ノビレチンは発がん抑制作用の研究が盛んに行われていますが、それ以外でもグレリン産生促進作用や血糖値の上昇抑制、記憶障害改善作用などについても研究されています
ノビレチンは、健康な普通の人でも体に良い栄養素ですが、グレリンの産生促進作用は胃が弱っている人に効果があるのだと思われます
特にシークワシャーは、他のかんきつ類よりもノビレチンを多く含むので、胃が弱ってる時にシイクワシャーを食べる(飲む)のはお勧めですよ
(さ)
<参考>
・北海道大学大学院薬学研究院 臨床病態解析学研究室のホームページ(http://www.pharm.hokudai.ac.jp/byoutai/theme/)
・東北大学 工学研究科付属 超臨界溶媒工学研究センター 抗認知症機能性食品開発部門のホームページ(http://www.che.tohoku.ac.jp/~scf/o-scf/nobiletin.html#n02)
・食品機能性の化学(食品機能性の化学 編集委員会:編集)
・漢方ポケット図鑑(宮原 桂:編著)
・アークレイ株式会社のホームページ