当社で受けるお問い合わせの中に
「ケイ素のサプリメントはありますか」
というご質問がたまにあります。
ミネラル検査によってケイ素の不足を指摘された方や、巷で「ケイ素は二日酔い予防に良い」とのうわさがあるためか、お問い合わせいただいているようです
皆さんはケイ素とは何かご存知ですか
今回はケイ素について簡単にまとめます
◆ケイ素とは
ケイ素はシリコン (Silicon)とも言い、岩石や土壌の主成分として地球上で酸素に次いで多く存在するミネラルです
通常、酸素との化合物である二酸化ケイ素(シリカ)の形で存在しており、占いなどで使われるあのキレイな水晶はシリカでできています
生物中では、植物(イネ科)や人体の骨や爪、血管、毛髪中に含まれます。
シリカはケイ酸塩の一種と考えられますが、ケイ酸塩は水溶性で水に溶け酸性でゼリー状になるという不思議な特性があります
※電子レンジ用調理器具などに使用されるシリコーン(Silicone)はケイ素を含む有機化合物の総称で、シリコーンは天然には存在しない物質です。
◆有効性
ヒトでの生物学的機能は明確にはなっておらず摂取基準も定められていませんが、欠乏すると正常な成長が阻害されると言われ、骨粗しょう症に有効性が示唆されています。
ラットにおいては、以下のような有効性が確認されています
・ケイ素サプリメントで骨ミネラル濃度が高まる
・アテロームを抑制し、高コレステロール血症を抑制する
・コレステロールをより多く排泄させる
◆安全性
ほとんどのケイ素化合物は、経口摂取する場合はすぐに尿中に排泄されるため安全性が高いと言われ、食品や飲料水に含まれるケイ素での副作用は報告されていません
ただ、医薬品やサプリメントとしてのケイ素のみを大量に摂取する場合には安全性は明らかではなく、まれに、ケイ素含有の制酸剤を長期間使用した人で腎結石ができてしまうことがあるようです
※長期間ケイ素を吸引した場合には、呼吸困難や気管支炎、珪肺などの健康被害が多数報告されています
◆服用量の目安
食事からの40mg摂取は、それ以下の量の摂取に比べ骨ミネラル密度の増大に関連するため、骨粗しょう症対策として有効かもしれません
ちなみに、ケイ素が多く含まれる食品の例とそのケイ素含有量は以下の通りです
<食品100g中に含まれるケイ素の量>
青のり 62 ㎎
オ-ト麦 12 ㎎
丸干しイワシ 10 ㎎
米ぬか 10 ㎎
アサリ 9.6 ㎎
桜えび 8.9㎎
◆まとめ
ミネラルとしてケイ素を吸収しても、相当な欠乏状態に陥っている方以外は、摂取しても速やかに排泄されてしまうと思われるので、体内での有用性はそれほど大きくないかもしれません。
また、巷では「ケイ素は二日酔い防止に良い」と飲酒前にケイ素を摂取されている方がいるようですが、その作用機序は以下のように考えられます
<ケイ素が二日酔い防止に良いと考えられる理由>
ケイ素はケイ酸塩の形でいると、胃酸によってゼリー状に変化するため、アルコールの吸収をおさえると考えられます
また、ケイ素自体がアルカリ性なので、胃酸過多を中和する可能性もあります
しかし、本当に二日酔い予防になるのかは分かっていません
ミネラルの多くは厚生労働省の定める日本人の食事摂取基準において上限量が設定されています。
ケイ素は上限量が設定されていませんが、大量に摂取しても大丈夫だということはありません
普通に食事を摂っていれば、ケイ素だけが不足するということはなかなか考えられず、ケイ素が不足している方はその他のミネラルだけでなくビタミンも不足している可能性もあります
普段の食事が加工食品ばかりであったり、同じものばかり食べている方は、ケイ素の摂取の前に普段の食事の見直しが必要ですね
また、二日酔い対策には「飲みすぎない」ことが第一です
お酒は、節度を守って楽しく飲みましょう
※二日酔いには、脱水に注意して十分な水分を摂取することや、アルコール代謝のためのビタミン、ミネラルを摂取することもお勧めですよ
(さ)
<参考>
・ミネラルの辞典(糸川嘉則:編集)
・http://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/19034393
・https://www.jstage.jst.go.jp/article/jsnfs1983/46/3/46_3_248/_pdf