最近“糖化”という言葉が一般的になりつつあります。
糖尿病の指標であるヘモグロビンA1cはヘモグロビンの糖化度を示したものですが、なぜ糖尿病の指標となるのでしょうか?
そこで今回は、ヘモグロビンA1cについて簡単にまとめます
●糖化とは
糖化とは、食事から摂った糖分(ブドウ糖、果糖)が血液中に過剰にある時に、体内のタンパク質やアミノ酸と反応して身体の本来の機能を低下させてしまう現象をいいます
糖化されてできるものを糖化産物(AGEs)と呼びますが、AGEsの生成と蓄積によって多くの臓器が障害を受けるため「肌の老化」「骨の質の低下」「動脈硬化」「糖尿病合併症」などにつながると考えられています
●ヘモグロビンA1cについて
ヘモグロビンは赤血球中の大部分を占めている血色素(タンパク質)の一種で、全身の細胞に酸素を送る働きをしています。
血液検査であらわされるヘモグロビンA1cの数値は、全体のヘモグロビンのうち糖化しているヘモグロビンがどのくらいの割合で血液中に存在しているかを表したものです
ヘモグロビンA1c(%)=糖化ヘモグロビン量/全てのヘモグロビン量
ヘモグロビンの糖化は、例えば、糖分の過剰摂取や運動不足、急激に血糖値を上げるような食事方法などによって起こりますが、いったん糖化したヘモグロビンは赤血球の寿命(120日)が尽きるまで元には戻りません。
<赤血球の一生とヘモグロビンの糖化>
●ヘモグロビンA1cの基準
血糖値は1日の中で変動しますが、ヘモグロビンA1cは過去1~2ヶ月程度の平均的な血糖値を反映するため、検査当日の食事や運動など短期間の血糖値の影響を受けません。
そのため、血糖値の検査だけでは分からなかった隠れ糖尿病または糖尿病予備群の発見に役立ちます
ヘモグロビンA1cの一般的な基準値は4.3~5.8%(NGSP:国際基準値)と言われ、特定健診では空腹時血糖値100ml/dl以上またはヘモグロビンA1Cc5.6%以上を高血糖の基準としています。
※もしヘモグロビンA1cが6.5%以上と確認された場合は、糖尿病である可能性が高いため医療機関での検査が勧められます
糖尿病は痛くもかゆくもないので自覚症状がないのが特徴ですが、血糖値が高いことで体が糖化すると、特に末梢血管がダメージを受けてしまいます。
末梢血管のダメージによる疾患は「糖尿病性網膜症」「糖尿病性腎症」「糖尿病性神経障害」などがあり糖尿病の3合併症と言われ、失明や人工透析、手足のしびれや筋力低下などの自律神経障害の大きな原因です
ヘモグロビンA1cの値を正常値に近づけることで、毛細血管へのダメージを減らして合併症を防ぐことが出来ます。
ヘモグロビンA1cの値が高めの人は、普段の食生活や生活習慣を見直し、血糖値を上げにくい食事や体を動かすことを心掛けると良いですね
でも、アスパルテームやアセスルファムカリウムなどの安全性が疑問視されている人工甘味料を使って、「カロリーゼロ」「血糖値を上げない」などを謳っているような商品を常用するのはお勧めしませんが…
次回は「合成甘味料」についてまとめたいと思います
(さ)
<参考>
・厚生労働省のホームページ
・国立循環器病研究センター病院のホームページ
・イラストレイテッド ハーパー・生化学(原書29版)
・アークレイ株式会社のホームページ