今の時期は、新ジャガが美味しい季節です
先日、近所の八百屋さんで新ジャガを発見したので購入し、蒸かしてバターを乗せて食べたのですが、やっぱり旬のものは美味しいですね
そこで今回は、ジャガイモの特徴やお勧めの料理などについてご紹介したいと思います
◆ジャガイモの特徴
いも類は穀類と同様に炭水化物を主成分とする食品ですが、穀類に比べて水分が多い(約70%)ため貯蔵や輸送に不便です
そのため、食用にされるよりもデンプンやアルコール、水あめ、ブドウ糖などの製造原料となる割合が高く、市販の片栗粉の多くは主にジャガイモのデンプンです
ジャガイモはサツマイモやサトイモの仲間と思われがちですが、実は、植物学の分類ではナス科の植物です
ナス科の植物にはナスの他にトマト、ピーマン、トウガラシなどがあります。
栄養成分は、主な炭水化物はデンプンで、ビタミンCを多く含んでいるのが特徴です(100g中のビタミンCは35㎎:なんとグレープフルーツと同等)。
デンプンによってビタミンCが守られるため、加熱調理中のビタミンCの損失率は野菜に比べて低いため、ビタミンCの補給源としてもお勧めです
また、フランスでは「大地のリンゴ」と言われるほどで、ビタミンB1やB6も豊富に含まれています。
◆種類と調理
・男爵、キタアカリ、農林1号、アンデス赤、ベニアカリ など
ホクホクとした粉質のいもで粘り気が少ないため、コロッケ、肉じゃが、ポテトサラダ、粉ふきいも などの料理に向いています。
・メークイン、ホッカイコガネ、とうや など
粘りがあって煮崩れしにくいため、カレーやシチューなど煮こみ料理、炒めもの、サラダ用の薄切り、揚げ物 などの料理に向いています。
◆調理・保存のポイント
・ジャガイモを切ったら水に浸ける
ジャガイモを切ると、細胞が破砕されて生体内にあるアミノ酸の一種チロシンがチロシナーゼという酵素によって褐色のメラニンになるため色が茶色く変色します。
チロシナーゼは水溶性なので、水に浸けることで変色を防ぐことができます
・芽と緑色の皮に注意
ジャガイモにはソラニンという毒素があり、芽に最も多く含まれます。
また、緑色になってしまった皮の部分にはソラニンが通常の10倍程度になるため、そのまま食べると食中毒を起こすことがあります
芽や緑色になった部分はしっかりと取り除きましょう
※通常は含有量が少ないため害は少ないと言われています。
・一気に加熱
ジャガイモのデンプンは60~70℃以下の加熱では加熱時間を長くしても十分糊化されません。
また、糊化不完全で一度冷えてしまうと、高い温度で再加熱しても完全に糊化されにくくいわゆる”ごりいも”という状態になってしまうことがあります。
そのため、ジャガイモの加熱は80℃以上で一気に行いましょう
※60~70℃で加熱すると煮崩れないという利点もあるため、加熱温度は調理方法によって分けるのもいいですね
・冷暗所保存をしましょう
光にあたると味が落ちてしまいます
常温の場合は新聞紙に包み、通気性のよい暗い所が良いですが、5℃くらいの暗所が理想です。
大量に手に入ったらリンゴ1~2個と一緒にビニールに入れておくと、リンゴから発生する成分(エチレン)により発芽が抑制されます
※長期間低温保存すると、デンプンが分解して糖分が増えて甘くなります。
食品中に含まれるアミノ酸の一種であるアスパラギンは、糖分(ブドウ糖や果糖など)と共に高温で加熱するとアクリルアミドという物質が生成してしまうことが分かっています。
アクリルアミドは日本では劇物に指定されており、遺伝毒性や発がん性があると言われています
ジャガイモにはアスパラギンも含まれるため、低温で長期間保存されたジャガイモは、焼く、揚げるなどの高温調理よりも蒸す、茹でるなどの低温調理(120℃以下)がお勧めですよ
(さ)
<参考>
・日本食品標準成分表2010
・新版 調理と理論 (山崎清子、島田キミエ、渋川祥子、下村道子:共著)
・農林水産省のホームページ
・厚生労働省のホームページ
・農畜産業振興機構のホームページ