先週、カロテノイドについてまとめた時にベータクリプトキサンチンについてまとめることができなかったため、今回はベータクリプトキサンチンについて簡単にまとめたいと思います
◆ベータクリプトキサンチンについて
ベータクリプトキサンチンはカロテノイドの一種で、植物内でベータカロテンから合成され、ベータクリプトキサンチンからは目に良いと言われるゼアキサンチンが合成されます。
温州ミカン、ポンカン、パパイヤ、柿、赤ピーマンなどに含まれており、特に温州ミカンの果実の内果皮(アルベド)と果肉の砂のう部分に多く含まれています
ミカンをたくさん食べ続けた時に皮膚が黄色くなる柑皮症は、ベータクリプトキサンチンが関係していますが、ミカンを食べるのをやめると色は薄くなっていくのでご安心を
また、ベータクリプトキサンチンはベータカロテンのようにプロビタミンAとして必要に応じて体内でビタミンAに変換されます
◆ベータクリプトキサンチンの歴史
カロテノイドの研究は、既に19世紀の初頭にヨーロッパにおいて始まっていたそうです。
そして、カロテノイドの生理作用に関しての研究は1910年頃から行われてきましたが、ベータクリプトキサンチンの研究は他のカロテノイド(ベータカロテン、リコペン、ルテイン、アスタキサンチンなど)と比較して遅れています。
研究が遅れている理由は、
●.欧米で習慣的に食べられる食品では、ベータクリプトキサンチンを大量に含んでいるものがなく、ヒトでの血中濃度が比較的低かったためにあまり注目されてこなかったこと
●純物質が得にくかった
などが考えられますが、近年になってから日本において新たな研究成果が次々と発表されています
◆ベータクリプトキサンチンに期待される効果
ベータクリプトキサンチンには「脂質代謝改善作用」や「発がん抑制作用」などが期待されます。
詳細は以下の通りです。
【脂質代謝改善作用】
べータクリプトキサンチンが脂質代謝を改善する作用のメカニズムは、
①PPARγ(ペルオキシソーム増殖剤応答性受容体ガンマ)のアンタゴニストとして作用。
②上記1の結果、前駆細胞(繊維芽細胞など)から脂肪細胞への分化を抑制したり、脂肪細胞の肥大化を抑制。
③上記1の結果、脂質生成および中性脂肪合成に関わる遺伝子の発現を抑制し、中性脂肪およびLDLコレステロールを減少。
上記のように考えられています。
【発がん抑制作用】
べータクリプトキサンチンが発がんを抑制する作用のメカニズムは、
①イニシエーション段階の抑制
●抗酸化物質として、活性酸素を消去。
●活性酸素のひとつである一酸化窒素の産生を抑制。
●体内で発がん物質を無毒化する過程で、一時的に強い発がん性をもつ物質が生じることがありますが、これらを代謝する酵素を増やし、すみやかに反応させる。
②プロモーション段階の抑制
●がん抑制遺伝子のp53遺伝子、RB遺伝子およびp16遺伝子を活性化すると考えられている。
●がん細胞の増殖活性の低下やアポトーシス係数の増加などの減少が認められている。
最近の温州ミカンは糖分が多くてとても甘いので、個人的にはダイエット(脂肪燃焼)効果は少し微妙な気がしますが、太りやすい冬にミカンを食べることでダイエットができれば、そんな嬉しいことはありません
私は、中学生の頃に担任の先生から
「手が黄色いよ。ミカンの食べ過ぎ??」
と聞かれてから、ミカンをそんなに食べないようにしていました
しかし、今年は冬になったら、こたつに入ってミカンを積極的に食べてみようかな、と思いました
また、ベータクリプトキサンチンは内果皮や砂のう部分に多く含まれるので、メタボ気味でこれらを食べない人がいたら注意してあげてくださいね
(さ)
<参考>
・食品機能性の化学(株式会社 産業技術サービスセンター:発行)
・アークレイ株式会社のホームページ