食中毒菌についての内容が続いていますが、今回は身近に存在する「黄色ブドウ球菌」について簡単にまとめたいと思います
●黄色ブドウ球菌とは
ヒトや動物の皮膚(特に化膿している傷口)や、のど、鼻腔内、腸管などに広く常在しています。
お弁当やおにぎり、サンドイッチ、ケーキ、菓子類などの手作り食品が感染源となることが多く、ほとんどの場合は、調理する人の手によって食品が汚染されます。
黄色ブドウ球菌が食品中で増えると「エンテロトキシン」と呼ばれる毒素を産生し、ブドウ球菌食中毒の原因となります(毒素型食中毒)。
また、メチシリン耐性黄色ブドウ球菌(MRSA)と呼ばれる多くの抗生物質が効かない菌も存在し、院内感染や術後MRSA腸炎の原因となるため重要な問題となっています
◆特徴
・潜伏期間が短い(30分ほどで発症することもあり)
・生成された毒素(エンテロトキシン)は100℃、30分の加熱でも無毒化されない
・発育至適pHは、4~10と広め
・年間を通じて発生するが、特に5~10 月に増加
・発症率は他の食中毒と比べて低く、15~20%前後
◆潜伏期間
30分~6時間(平均3時間)
◆主な症状
激しい吐き気、嘔吐、腹痛、下痢など
※まれに発熱などの症状が出るが、通常は1~2日程度で自然回復(特別な治療はしない)
※脱水症状に要注意
◆抵抗手段
・手荒れや傷のある人は、食品や調理器具に直接触れないように気を付ける
(マスクや帽子、ゴム手袋などの着用)
・手洗いや手指の消毒で2次汚染の阻止
・低温保存
やはり、食中毒の予防は手洗いが大切ですね
黄色ブドウ球菌は常温(10~48℃)で増殖しやすいため、調理した食品は速やかに冷却して10℃以下で保存するのがお勧めです
ただし、10℃以下で保存すれば絶対に大丈夫。ということではないため、冷蔵庫などを過信しすぎないようにしましょう
また、発症率は15~20%と低めです。
普段から体調を整え、抵抗力をつけることも重要ですよ
(さ)
<参考>
・国立感染症研究所感染症情報センターのホームページ
・内閣府 食品安全委員会ホームページ