前回は食中毒の原因や予防などについて簡単にまとめました。
今回から数回にわたって、食中毒の原因となる細菌やウイルスについてまとめたいと思いますが、今回はその中で「ノロウイルス」について簡単にまとめたいと思います
●ノロウイルスとは
以前は「小型球形ウイルス(SRSV)」と呼ばれていましたが、現在はノロウイルスという名前がついています。
人の腸管内や二枚貝などの貝類に潜伏しており、二枚貝の生食(加熱不足)や感染した調理従事者を通して汚染された惣菜や、生食の野菜や果物を食べることで感染が広がります。
◆特徴
・食品や環境中では増殖せず、人の腸管内のみで増殖する
・感染力が強く少量(10個程度)でも感染・発病する
・感染後の獲得免疫は弱い(遺伝子型が多いことから何度でも感染する)
・食品からだけでなく、接触や空気などを介して経口感染する
(例:便やおう吐物が乾燥して細かな塵と舞い上がり、その塵と一緒にウイルスを体内に取り込む)
◆潜伏期間
24~48時間
◆主な症状
吐き気、嘔吐、下痢、腹痛。(時には発熱、頭痛、筋肉痛を伴う)
健康な方は軽症で回復しますが、子どもやお年寄りなどでは重症化(脱水症状)したり、吐ぶつを誤って気道に詰まらせて死亡することがあります。
通常、1~3日で回復します。
◆抵抗手段
・調理や食事の前には十分な手洗いをする
・ノロウイルス感染の恐れがある食品は、中心温度85~90℃で90秒以上加熱する
・糞便や嘔吐物にも大量のウイルスが含まれているため、その処理は適切に行う
※便や嘔吐物の処理
使い捨て手袋、マスク、エプロンを着用し、処理後は石けんと流水で十分に手を洗いましょう。
また、アルコール消毒は効果がないため、「次亜塩素酸ナトリウムで消毒」したり「煮沸やスチームアイロンなどで85℃1分以上の加熱」をするなどしましょう。
手洗い時に汚れが残りやすいのは、「指先や爪の間」「指の間」「親指の周り」「手首」「手のしわ」だそです。
ノロウイルス感染を防ぐ手段はたくさんありますが、まずは、汚れが残りやすい部分を意識してきれいに手を洗うことから心掛けてみてはいかがでしょうか?
次回は「腸管出血性大腸菌O-157」についてまとめたいと思います
(さ)
<参考>
・内閣府 食品安全委員会のホームページ
・厚生労働省のホームページ
・東京都感染症情報センターのホームページ