⑤-2剤形:ハードカプセル
「製造工程の概要」にて、おおまかな説明をしましたが、その中の「成型工程」について、今回は「ハードカプセル本体(キャップ・ボディ)」を使用した「ハードカプセル充填」の製造工程をご紹介します。
ハードカプセル充填の製造工程
空カプセル受入検査
- カプセル本体(キャップ・ボディ)について、通常、充填製造を行う工場がカプセルメーカーから購入します。
- 受入検査について、各社の自主基準に基づいて外観・サイズなどのチェックをカプセルメーカーからの試験成績書と照合して行います。
1.計量
- 秤量室には、原料を1つずつ持込み、計量を行います。原料のコンタミを防ぐため、複数の原料を同時に秤量室に入れることはありません。
- プログラミングされた配合表に基づき計量管理を行うことで、ミスを起こしにくい工夫をしている製造工場もあります。
2.混合
計量された栄養素および賦形剤は混合機を用いて均一に混合されます。
ハードカプセルの特長として「賦形剤を極力少なくできる」ことがありますが、ハードカプセルで多く使用される賦形剤は主に「流動性を確保するもの」「充填機への付着を防止するもの(※)」です。
※充填機の機構については次に説明します。
あくまでも一例ですが、ハードカプセル製品のパッケージに記載されている原材料名のうち、
・結晶セルロースは、「流動性を確保するもの」
・ステアリン酸カルシウム・微粒酸化ケイ素は、「充填機への付着を防止するもの」
と言えます。
※これらの賦形剤は、上記以外の効果を期待して添加している場合もあります。
3.充填
充填機にてカプセル本体へ内容物を充填します。充填方法は何種類かあり、それぞれ特徴があります。その一部を以下に紹介します。
①オーガー式
ホッパー内の粉末をスクリュー型の部品(オーガーと言います)で、カプセルボディ内に粉末を押し込み、一定量の粉末を充填する方法
②ダイコンプレス式
タッピングロッド(棒状の部品)で数回圧縮成型(カプセルに充填しやすいよう、粉末をタッピングロッドで押し固める)した粉末を、カプセルボディ内に落とし込む方法
下図は、プレート「9穴×2列×5セグメント」タイプです。各セグメント間の穴数で1分間当たりの製造能力が変わります。
③ファンネル式
粉体層にファンネル(筒状の部品)を押し込んで軽く圧縮成型した粉末を、カプセルボディ内に落とし込む方法
④マス式
顆粒充填の際に用いられ、計量マスにて充填量を調整後、シャッターが開きカプセルボディ内に落とし込む方法
- 充填後のカプセルは充填機備え付けの金属探知機を通過し、ブラッシング工程に移ります。
- ブラッシングでカプセル表面の粉付きを落とし、充填カプセルとの重量差で空カプセルを分離させます(選別)。
- 金属探知機、ブラッシングを通過した充填カプセルは仮取りされて、外観検査へ進みます。
同じ配合のサプリメントでも充填方式や機械メーカーによって、1つのカプセルに詰めることのできる量が異なります。
そのため、できるだけ小さなカプセルに多くの粉を詰めるために、当社では複数の選択肢を持つことが重要と考えています。
4.外観検査
- コンベアにカプセル全数を流して、不良品の選別を検査員が目視で行います。
- 製造工場によっては、半自動選別機(作業者がホッパーへ投入後、ビデオで自動選別)を導入している場合もあります。
- 外観検査合格品は仮取りされて、「包装工程」へ進みます。