【第5回】患者様の行動変容をつくりだす4つの視点
患者様の良き理解者となり、主体的な選択をサポートする
定期的な運動を行い、食生活に気をつけ、適度な睡眠を確保するということが、病気の予防や改善、健康増進につながると、多くの人は理解しているにも関わらず、健康につながる生活習慣を取り入れられず、思うように病気の予防や改善ができずにいます。
患者様が行動習慣を自ら変える必要がある場合において、お医者様と患者様は、どのような関係を築くことが効果的なのでしょうか。
緊急性が高い場面において、お医者様は、専門家として判断を下し、一方的に、または主導権を持って、医療行為を行い患者様の課題を解決する立場が求められます。
しかし、患者様自身が生活習慣の改善や行動を変える必要がある場面において、お医者様が主導権を持って専門知識をアドバイスしたり、やるべきことを一方的に指示する、というような関係性では、患者様に行動の変化をもたらすことは難しいかもしれません。
ここで大切なことは、お医者様が患者様の考え方を理解し、患者様の課題(健康増進や、病気からの回復・改善)を一緒に解決していく、パートナーとしての関係性を築くことです。
例えば、糖尿病の患者様が「間食習慣を止められず、食事制限がうまくいかない」という状況で、患者様が行動を変容できていないことを「良い・悪い」で判断し、評価を下したり、患者様から求められていないのに、取るべき行動をアドバイスすることは効果的ではないでしょう。
このような関わり方の結果、
・先生は指示をする人、患者様は指示を守る人
・先生は評価する人、患者様は評価される人
・先生は処置をする人、患者様は処置をされる人
というような、一方的な関係性となってしまいます。
「お医者様に言われたからやる」というように、健康課題の解決を自分ごとに感じられず、患者様の依存心を増幅させてしまうかもしれません。結果として、患者様の行動は変容しない、もしくは、何度か行動できても、継続できないことが多いでしょう。
この場合であれば、
・どのような状況で間食をしてしまうのか
・間食をするということに対して、どのように感じているのか
・間食を止められない原因を、どのように考えているのか
・間食を止めることに対して、どのように考えているのか
というような質問を通じて、患者様の状況や考え方を理解し、その上で、原因や改善方法を一緒に考え、お互いの情報を共有しながら、取るべき行動を患者様中心に決めていくことが効果的です。
お医者様が患者様の考え方を理解しようとする姿勢は、安心感や納得感を生み、一緒に解決しようとする姿勢は、行動を変化させるモチベーションにつながり、患者様中心で取るべき行動を選択することは、主体性を生み出します。
後半では、患者様の良き理解者・パートナーとして関わり、患者様の行動変容につなげる為の具体的な方法についてお伝えしていきます。
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